企画展
いしぶみ
~石碑が伝えるものがたり~
会期:令和元年8月31日(土)〜12月15日(日)
「いしぶみ(石文・碑)」とは、事績を伝えるために文字等を刻んで建立された石の総称で、一般に石碑のことをいいます。 個人や団体の功績を讃える顕彰碑、人物・時代・事件などを記念して建てられた記念碑や慰霊碑、和歌や俳句等を刻んだ文学碑等、その種類は多様です。
松島にも多くの石碑が残されています。 その理由は、松島がその景観の素晴らしさから古来より歌枕の地として知られていたこと、「奥州の高野」と称される聖地・霊場であったことによります。霊場松島の中心とされる雄島には、浄土への往生を願って板碑という供養碑が無数に建てられました。また、松尾芭蕉の『おくのほそ道』によって、絶景の地であることがより広く人々に周知された後は、多くの文人墨客が松島を訪れて石碑を建立しており、現在も各所で目にすることが出来ます。
何れも、後世に遺し、伝えたいという意志のもとに建立されたものですが、年月を経るに従って刻まれた銘文が薄れ、その存在自体も忘れられ、良質な石材として再利用されたり、開発により多くの石碑が失われています。その一方で、2011年に発生した東日本大震災において、過去の津波到達点に建てられた碑の手前で津波が止まったという事例がみられ、過去の災害記録としてその有用性が再認識されるようにもなりました。
本展覧会では、主に瑞巌寺周辺に残る石碑の拓本を中心とした資料を展示致します。記憶され続けるべきこととして、今を生きる私達に伝えたかった先人の思いに触れ、皆樣の身近にある石碑に関心をもつ一助となれば幸甚です。